傷病手当金の支給期間が通算されました

傷病手当金とは、健康保険の被保険者が業務外(私傷病)の病気やけがにより働けなくなった時に、被保険者が受け取ることができる手当金です。

今までは「傷病手当金の支給開始日から1年6か月」が支給期間の上限でしたが、今回の改正により「傷病手当金が実際に支給された合計が1年6か月に達するまで」と変更になりました。
傷病手当金のポイントと、改正内容についてお伝えいたします。

傷病手当金の支給を受けるポイント

1.業務外のけがや病気であること
業務上の病気やけがであれば労災保険からの給付となります。

2.給与の支払いがないこと
病気やけがのため仕事ができず、その間の給与が支払われていないこと。
仕事に就くことができない状態でないと支給されませんので、医師の証明が必要になります。
3日間連続して仕事を休み、4日目以降休んだ日が支給対象となります。
この3日間のことを「待期期間」といい、待期期間には土日などの休日も含まれます。
待期期間中の給与の支払い有無は関係ありません。

3.支給金額は給与の3分の2
支給金額は、支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額(給与)の平均額を30(日)で割って3分の2にした金額です。

たとえば標準報酬月額が26万円だとすると
26万円÷30日×3分の2≒5,700円
約5,700円が1日当たりの金額となり、20日間休んだとすると約114,000円が傷病手当金として
支給されることになります。

4.申請手続きは給与の締め日以降
傷病手当金を受給するには、給与の支払いがなかったことの証明が必要であるため
給与締め日以降に賃金台帳や医師の証明等の書類を揃えて健康保険に申請することになります。

改正内容

昨年までは傷病手当金の支給期間は「傷病手当金の支給開始から1年6か月」でした。
支給開始日から1年6か月経過すると、傷病手当金はもらえなくなりました。
1年6か月の間に復帰して、また体調が悪化して休業しても、支給期間が終わると保障がなくなってしまいました。
今回の改正で支給期間が通算化されると、支給開始から1年6か月の支給期間中、出勤した日は支給期間から除かれます。支給開始日から同一のけがや病気のために仕事を休んだ日数の合計が、1年6か月に達するまで受給できるということです。

傷病手当金の支給期間が通算化されると、どうなる?
今までの制度は、1年6か月の途中で復帰すると体調が悪化してまた休職すると傷病手当金が受け取れなくなってしまうことになり、なかなか復帰できないということもありました。
今回の改正だと、復帰して仕事している間は給与が支給されます。
たとえば支給期間のうち1年間休職して、復帰をしても6か月間(出勤日除く)の支給期間が残ります。残った期間で出勤と治療による休職を繰り返し、段階的に復帰に向けて準備することが可能です。